シャンファの回避率が下がった!

ポケモンブログになるはずだったなにか

フィニスの門 手記その2

ジェフリー・エゼルアートの手記

 

ーー私は、信念を貫いた。

 

私の死の数年前から、ノーブルコートには影が蔓延っていた。黒曜会だ。

彼らは甘い話を持ちかけてきたが、私は耳を貸さなかった。

 

抱き込めないとわかると、

彼らは幾度となく私の命を狙ってきた。

 

だが、私は屈せず、彼らの裏を調べていった。

首謀者や目的、繋がり……。

そして、"フィニスの門"という存在に行き着いた。

その後、それを嗅ぎつけた男たちに、私は殺されたのだ。

だが、後悔はしていない。

私は家訓に従い、町のために最善を尽くした。

 

唯一の心残りは……

プリムロゼを独り残してしまったことだ。

娘に、すべてを背負わせてしまった。

 

プリムロゼ。

私の墓前に報告に来てくれたね。

お前は、私の教えを守ったのだと。

 

お前は、強い娘だ。自ら為すべきことをみつけ、それを貫いた。

そしてそれは、私の遺志でもある。

お前は、私の信念を継いでくれたのだ。

 

プリムロゼ。

たった独りで、つらかったろう。

この私をどうか、許してくれ。

ゆっくり腰を落ち着け、休むといい。

そして、私のことを忘れ、幸せをみつけておくれ。

お前自身の幸せを。

私はいつも、お前の傍にいるから。

 

 

レイヴァース家当主の手記

 

幼い頃より当家の由来について、父からよく聞かされた。

レイヴァース家の当主となるとはどういうことなのか。

そして何を守らねばならないのかということも。

その事を語ってくれた父は祖父から聞き、その祖父は曽祖父から聞いたという。

 

レイヴァース家は財産にも恵まれている。

うらやむ者も多いだろう。

しかし、私にとってそれは些細なことだ。

レイヴァース家に生まれるということは、

家宝を守る重責を背負うということでもあるのだ。

そう、あの4つの竜石を守るという……。

竜石はレイヴァース家初代がホルンブルグの建国者である

ベオウルフ王から授かったもので、以来代々我が家に受け継がれている。

 

確かに東方由来のこの石の金銭的な価値は高い。

しかし、それ以上に秘められた大きな力に意味がある。

この石には、その名の通り竜の力が宿っているのだ。

 

今から200年前。ベオウルフ王と共に遠征した

大魔術師オージン・クロスフォードが"フィニスの門"を

封じるためにこの竜石の力を用いたという。

先代当主である父は、こう私に言った。

 

「力には、善も悪もない。

剣を持つ者が善を為すか悪を為すかなのだ」

だからこそ、ベオウルフ王はもっとも信頼できる騎士であり、

そして親友でもあったレイヴァース家初代に竜石を託したのだと。

 

大きな力は大きな善も為すが、大きな悪も為す。

竜石を保管し、悪用を防ぐというのがレイヴァース家の使命である。

 

だが、大きな力は時として大きな欲望を呼び寄せる。

レイヴァース家の財産と竜石を狙う者たちは後を絶たなかった。

 

親類縁者すら信用はおけなかった。

ここ最近、怪しげな連中が親類の許を訪れていたという噂も私の耳に入っていた。

 

私と妻が乗り込んだ馬車の車輪に細工をしたのも、竜石を狙う連中にそそのかされた親類の手の者なのかもしれない。

 

ああ、だからこそ、コーデリアが心配だ。

あの子は優しい子だ。人を疑うことなど思いもよるまい。

きっと大勢の者たちが親切を装って近づき、

あの子を騙そうとするだろう。

 

コーデリア、私はもう側にいてやれない。

お前に私の声が届くこともない。

時として、手ひどく裏切られることもあるだろう。

だが、それでも、お前ならできるはずだ。

誰かを最後まで信じ抜くということを。

 

私は信じることで、ヒースコートという心強い友人を得られた。

きっとお前の許にも、信頼に足る友人が現れるはずだ。

 

だから、コーデリア

 

誰かを信じるということを止めないでくれ。

それがきっとお前自身を救うことになるのだから。